<第14回>「あれ? 跳べるようになってる……」
【連載】 鈴木明子 スケート人生「キス&クライ」
長久保先生の指導を求めて全国からスケーターたちが集まる仙台での夏季合宿です。
「一般クラス」で先生からなかなか声をかけてもらえない私は、まず「名前を覚えてもらいたい」と、とにかく一生懸命でした。
周りには高難度のジャンプを軽々とやっている選手が多く、できないことばかり。必死に練習についていこうとしました。
後に先生にこの時の私の印象を聞くと、「決して上手じゃなかったけれど、踊りや演技を吸収したい意欲が出ていた」と言っていました。指導者は見ているものです。
一方、同じリンクでは荒川(静香)さんや本田(武史)さんが、難度の高いコンビネーションジャンプやエッジワークをいとも簡単に成功させていました。当時から長野五輪(98年)に出場することが有力だった2人(実際に2人とも出場)。私の憧れの存在でもありましたから、一緒に練習ができるだけでも心が躍る。練習にくぎ付けでした。