<第27回>わずか15秒の振り付けのために2日間を費やした
出来上がりは自分でも納得のいくものでした。シェイリーンも自信を持って「オリンピックに出られるといいわね」と送り出してくれました。
しかし、私には期待と同様に一抹の不安もありました。
今回の曲はこれまで私が幼少期から演じてきた強さ、激しさを表現するのとは異なり、明るさや楽しさを前面に押し出したもの。イメージが自分の印象に合うのか。今までとは違った私をファンやジャッジがどう評価し、受け入れてくれるのか。
そんな気持ちを抱えながら挑んだシーズン。曲に合わせて精度を高めたスピンやステップ、スパイラルに対し、審判は予想以上に高い評価をしてくれました。ファンも会場で曲に合わせて温かい雰囲気、手拍子で演技を盛り上げてくれたのです。
おかげで、このシーズンは初めてグランプリ(GP)シリーズの中国杯で優勝することができ、GPファイナルでも3位。五輪選考がかかった全日本選手権でも2位に入り、夢だったバンクーバー五輪出場が果たせたのです。
(つづく)