<第23回>競技継続が困難と考えていたころ、就職先が見つかった
【連載】 鈴木明子 スケート人生「キス&クライ」
入学直後に拒食症を患ったせいで、大学在学中に実績を残せなかった私は、卒業後にスケートを続けられる保証がありませんでした。
フィギュア競技はお金がかかるスポーツです。
日本を代表する「強化指定選手」になれば、連盟やスポンサーなどから資金等を含め、援助していただけます。が、そうでない選手は経済的な負担が少なくありません。夢半ばで違う道へ進んでしまう選手が多いのが実際のところです。
例えば、貸し切り練習でかかるリンク使用料や、世界の大会に転戦するための遠征費。ショート、フリー、エキシビションの衣装代も決して安くはありません。そこにコーチへの月々の指導料、プログラム制作費用等々が加わる。全てを含めると1年間で数百万円単位の費用が、選手に重くのしかかってくるのです。
私は幸い、両親の支援のおかげで、幼少期から大学までスケートを続けられました。が、それはあくまで「学生」であり、強化指定選手になっていたからこそ。拒食症で「ゼロ」からのスタートを強いられた私は、スケート連盟やスポンサーからの支援は望めませんでした。