<第26回>フィギュアのプログラムはこうして作ります
【連載】 鈴木明子 スケート人生「キス&クライ」
バンクーバー五輪を9カ月後に控えた09年5月。私はフリーのプログラムを大幅に刷新するため、カナダのトロントを拠点に活動していた女性振付師のシェイリーン・ボーンさん(38)を訪ねました。
カナダ人の彼女は元アイスダンスの世界チャンピオン。現役時代から私の憧れのスケーターで、表現力豊かな選手です。ジャンプでは他の選手に勝ち目のない私は、表現力や芸術性を伸ばさなければオリンピック出場はかなわない。氷上の表現力がフィギュア以上に重要視されるアイスダンス部門に身を置き、五輪開催国のカナダ事情に詳しい彼女に、私に合うプログラム作りをお願いしたのです。
完成までの期間はわずか1週間。1週間というと短いようですが、このぐらいの期間が一般的です。
彼女が最初に着目したのが私自身の「イメージチェンジ」でした。
それまでの私はタンゴ調の曲に合わせ強さや激しさを強調する傾向がありました。その方がファンやジャッジの脳裏に演技が強く残ると考えていたからです。