阪神残留を“保険”にメジャー挑戦 疑問視される鳥谷の本気度
しかし、頑丈で勤勉という理由だけで、メジャーが実績のない日本人内野手を厚遇するとも思えない。前出のスカウトがこう言った。
「米国や中南米出身選手はムラっ気があるし、守備も雑。鳥谷は彼らと比べて守備は堅実です。けれども、いかんせん身体能力が違い過ぎる。内野で勝負するなら、あくまでも扱いは控えになる。チームによってはメジャー最低保障(約6000万円)に出場試合数や打席数などに応じた出来高を厚くした契約になるでしょう」
■成功した日本人は退路を断って渡米した
現状を見る限り、メジャー契約を結べるだけでも御の字。「レギュラー確約」は厳しいと言わざるを得ないものの、代理人のスコット・ボラス氏によれば、鳥谷の選択肢には「阪神残留」も含まれる。要するにメジャー移籍はレギュラー確約が条件で、それがかなわなかった場合は阪神に残るつもりなのだろう。
今年のワールドシリーズに出場した青木宣親(32=ロイヤルズからFA)は11年オフ、3億3000万円の年俸を捨てて、9000万円で海を渡った。契約前には首脳陣の前で入団テストまでやって、レギュラーにはい上がった。メジャー通算32勝の吉井理人氏(評論家)はFA宣言後、巨人の総額10億円近いカネより、年俸2600万円の米球界を選んだ。松井秀喜やイチローくらい突出した実力があればともかく、そうでない選手は世界最高峰の舞台で勝負したいという欲、退路を断った選択が成功につながった。
鳥谷がメジャーに憧れているのは事実だ。しかし、年俸5億円の複数年契約を用意しているらしい阪神を受け皿に「メジャー挑戦」と言われても、本気度という点で疑問なのだ。