どんどん野球が下手になっているんじゃないかと不安が募りました
そんな生活を7カ月。毎日が不安でしたが、11月が近づくとそれがピークに達しました。
今度のドラフトで本当に巨人に入れるのだろうか……。
1990年11月24日のドラフト当日。前日に当時の正力オーナーが、「元木選手を1位指名する」と明言していたことを報道陣から教えてもらったものの、前年のことがあるから不安は晴れない。別の記者の方からは、「須藤監督の大洋も指名を考えているらしい」とも聞かされていたので、なおさらでした。
急きょ、ホノルル市内のテレビ局にセットされた臨時記者会見場に座って巨人の1位指名を待った僕は、あとでテレビ局のディレクターに聞いたところによると、ドラフト開始の5分前からずっと、テーブルに右手の人さし指で「巨人」「ジャイアンツ」となぞっていたそうです。まったく記憶にありませんが、あれほど緊張したことがなかったのは確かです。
会見場に流れたのは音声だけ。「読売、元木大介」のアナウンスにも安心はできず、12球団目の西武が亜大の小池秀郎さんを入札した瞬間、自分の目が潤むのが分かりました。ようやく夢がかなったわけですが、巨人に入っていきなり頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けました。(つづく)