「抜け出したいと思うが負け」 権藤氏語る混セ脱出の落とし穴
投手は投げていないと不安になる生き物。「いや、私は投げるなと言ってるんですが」と言うブルペン捕手に、「おまえがボールを返すから投げるんじゃないか。ボールを返さなければ、投げれはせん」とジョーク交じりに押しとどめたりしたものである。
■いかに救援陣に力を蓄えさせるか
今季のセ・リーグは、どこも決め手に欠く。過去に例のない混戦状態。各球団の首脳陣はいち早くこのダンゴレースから抜け出したいとウズウズしているだろうが、そこに落とし穴が待っているような気がする。
抜け出したい、と考えてはいけない。そう思うと、自然と選手、特に投手に無理を強いる。8月に入ろうというこの時期まで異常な接戦が続いているのだから、どこにもリードする力などない。恐らく9月に入る頃までは、このままだろう。抜け出そうとするのではなく、混戦の輪から外れなければいいと発想を転換する。そう割り切って、本当の勝負どころまで投手陣に力を蓄えさせることだ。中でも最も負担の大きいリリーフ陣をいかにして最後まで持たせるか。これが、今季のペナントレースの鍵を握ると思う。
(野球評論家)