オリ平野恵「幸せな14年」 真摯に全力で駆け抜けた小兵の矜持

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「本当に幸せな14年間でした。ただ、もう体が限界かなと思いました」

 25日に行われた引退会見。オリックスの内野手、平野恵一(36)は晴れやかな表情でこう語った。

 169センチ、67キロ。体格は小柄でも、グラウンドでは常に全力プレーを心がけた。06年5月のロッテ戦では一塁後方のフライを全力疾走で追い、フェンスに激突。胸部軟骨損傷など選手生命を絶たれかねない重傷を負いながら、不屈の闘志で復帰した。

あの時の歓声は忘れられません」(平野)

 生き様も真摯だった。

 FA移籍で阪神から古巣オリックスに復帰した13年2月の宮古島春季キャンプ。ある日の練習後の帰り道だった。夕暮れの中、一人うつむきながらバスに向かう本人を見ると、明らかに何かを考え込んでいる様子。思わず声をかけると、平野は真顔で「ゲンダイさん、全部しっかり書いてくれますか?」と頭を下げ、思いの丈を語り始めた。

 新天地に移籍しても頭の中から離れなかったのは古巣・阪神から受けた冷たい仕打ちだった。阪神で現役生活を全うする気持ちだったが、チームは前年Bクラスだったこともあり、大型補強を敢行。メジャー帰りの西岡、福留を相次いで獲得したことで、2人とポジションの重なる平野は徐々にチームの片隅に追いやられた気がした。

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