箱根駅伝完全Vの青学・原晋監督 祝賀会で“トークバトル”
「箱根駅伝」で青山学院大駅伝部が、1区から最終10区まで1度もトップの座を譲らず、77年の日体大以来の完全優勝を成し遂げた。6日に「青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ」の版元・徳間書店主催の優勝祝賀会が開かれ、原晋監督、フィジカル強化担当の中野ジェームズ修一氏、スポーツジャーナリストの二宮清純氏、「島耕作」シリーズの生みの親で駅伝ファンの漫画家・弘兼憲史氏が思う存分に語り合った。
まずは箱根の5区・山上りで区間2位の神野について二宮氏が「彼の調子は良くなかったと思いました」と口火を切った。
「1年目の箱根駅伝で優勝してからの12カ月、半分は故障でした(15年10月の出雲駅伝欠場)。しかし、中野さんにもお世話になり、箱根駅伝の時点での《神野の持てる力》を十二分に出し切ってくれました」
続けて二宮氏が「どの区間で優勝の手ごたえを感じましたか?」と尋ねると「6区の山下りを1年の小野田が区間2位で走り終えた時に確信しました」と続けて原監督。
弘兼氏は「下りはブレーキをかけてはダメ。前のめりになり過ぎても下半身に負担が増す。小野田はス~ッと下っていきました。でも唯一の1年生を6区でよく起用しました」と感嘆する。
青学連覇の原動力のひとつに中野氏の手腕も見逃せない。「体幹トレーニングはスポーツのジャンル、陸上の場合は種目によってトレーニング方法は変わりますか?」と二宮氏。「似て非なるものです」と中野氏。
「体幹を鍛える=体の軸を安定させることなのですが、スポーツによっても違いますし、同じ陸上でも短距離と長距離とでは別モノです。たとえばサッカーに有益な体幹トレを、陸上に取り入れるのは間違いです」
4人の対談は「箱根駅伝の将来像について」にシフトしていった。
「箱根駅伝は国民的イベントに成長しました。陸上界の宝です。こんな大きくて影響力のあるコンテンツを“関東だけで牛耳って”いいのか? 100回大会を機に20校プラス10校は関東以外の大学を出場させる。大会をはさんで前番組、後番組を増やし、コースの各所に観客席を設ける。さらにエンターテインメント性をあげたい。1月に箱根が終わると10月の出雲まで駅伝がない。3月に新たな大会を作ったらいかがでしょうか? 実業団はニューイヤー駅伝の上位10チームが、大学は箱根駅伝のシード10校が、高校生は選抜チームが参加して真の日本一を決めるのです。盛り上がりますよ」(原監督)
原監督の大胆提言に対談はヒートアップする一方。話題は4年後の東京五輪に変わっていった。
「どうして東京五輪に公開競技でもいいから駅伝を入れないのか? そんな声が湧き起こってこないのは、陸上に関わっている人たちの怠慢ではないでしょうか?」と原監督。「同感です」と二宮氏がこう続ける。
「開催国の日本は、メダルの可能性のある駅伝を入れるべき、と主張してもよかった。五輪種目に日本発祥のスポーツは柔道と競輪だけ。これにEKIDENを加えて欲しい」。
弘兼氏も「ぜひ箱根と同じコースで。箱根の上り、下りはアフリカ選手も苦戦するでしょうし、金メダルの可能性はあります」と言い切る。
「批判覚悟で改革案をブチあげています。原はけしからん! という声も耳に届きますが、陸上界の活性化につながるのであれば、出過ぎた杭は打たれないをモットーにどんな批判も受け入れたいと思います」(原監督)