谷原抜き首位浮上も…池田勇太に問われる賞金王の資質
「追いかける池田は失うものがなく、攻めるだけのゴルフができた。しかし、並んでからが本当の勝負。池田は追いつくまではただひたすら“入れる”ことに集中し、外れることを考えていなかった。ところが17番では先に打つ2メートルのチャンスに“入れなきゃいけない”と違う精神状態になった。ラインもあるだろうが、それまで長い距離を決めていたのに打てなかった。結局、世界で戦っているプロと世界三流といわれる日本ツアープロの差がそこで出たわけです」
鬼才と呼ばれ、マッチプレーでは無敗を誇った戸田藤一郎は、「優勝のかかった最後の一打を打てるかどうか。それでチャンピオンが決まる」と言った。つまり池田は2メートルを決めることができず、チャンピオンに手が届かなかったことになる。
■差は472蔓延
それでも池田の11バーディーは18ホール最多バーディー数記録を更新し、最終日61(10アンダー)はコースレコードタイ。賞金レースでは谷原秀人(38)に472万円差をつけて再び首位に立った。
「池田はプレー中に胸をはだけてアイシングをしていたがみっともない。もっと歯を食いしばってやって欲しかった。杉原輝雄プロは“決して殴り合いじゃないがゴルフは格闘技”と、試合中は常にポーカーフェースだった。プロは皆、どこかに古傷を抱えながら戦っているが口には出さない。戦っている相手に左肩が痛いと弱みを見せれば不利になる。それに熱戦を期待している観客にも失礼。あんなアイシングしている姿を見せられたら、応援する方も力が入らなくなります」(前出の菅野氏)
そういえば池田は大会初日から左肩痛で棄権をほのめかしていた。本当に痛いのだろう。だが、賞金王を狙うプロがヤワなら、タイトルの価値がなくなってしまうはずだ。