侍J権藤博投手コーチ「WBCは8年前と明らかに変わった」
前回の第3回大会を見るまで、実は私はWBCに対していいイメージを持っていなかった。
それは、日本が連覇を果たした2009年の第2回大会に起因する。第2ラウンドに進出した日本を追いかけ、私はサンディエゴとロサンゼルスまで取材に行った。肌で感じたいと思っていた熱気がしかし、現地ではまったくない。試合を見ても、「なんなんだ、これは」とガッカリすることばかり。世界一を目指して必死に戦う日本や韓国の選手とは対照的に、米国もメキシコもお粗末なプレーの連続だった。
それぞれのチームの中心にいるメジャーリーガーは、明らかに開幕前の調整段階という態度で、覇気が感じられなかったのだ。記者席もガラガラ。現地の新聞にはWBCのことなどほとんど載っていない。そんな状態だった。
だから、13年の前回大会には取材に行かず、テレビで観戦することにしたのだが、すぐに後悔した。優勝したドミニカ共和国も日本を準決勝で破ったプエルトリコも、目の色がまるで違った。10億円以上の年俸をもらうメジャーの連中が1球、1点、1勝に必死になっているのがテレビ画面からも伝わってきた。