サニブラウン 世界陸上前の合宿不参加は英断かワガママか
とはいえ、伝統を重視する陸上関係者の中からは、「合宿に参加しないサニブラウンはわがままだ」という声が上がってもおかしくない。これまでの日本の選手なら自分の練習は二の次にして、海外から帰国して合宿に参加したかもしれない。しかし、サニブラウンはガーナ人の父を持つハーフだ。欧米各地で練習を積み、今秋から米・フロリダ大学に進むグローバルな視点を持つ。
前出の高野氏はこう続ける。
「サニブラウンの合宿不参加が正式に決まれば、日本陸連は今後あり得る状況に備えて、合宿地について色々なプランを考えておくべきです。例えば、ケンブリッジも活動拠点を米国に移すために準備している。今のサニブラウンのように、将来は海外で練習したり、欧米のクラブに所属する選手が増えるかもしれません。そんな選手たちが代表に複数選ばれたとき、日本で合宿をすることは合理的ではない。個人種目で決勝を戦えるレベルになれば海外で合宿をやったり、合宿そのものを止めてジャマイカや米国のように、五輪や世界選手権の大会会場での調整だけで対応することも視野に入れておくべきです」
世界の頂点を狙うサニブラウンは、陸上界の「慣例」さえも変えるかもしれない。