“10番の先輩”木村和司氏が香川に直言「もっとわがままに」
ロシアW杯が現地14日に開幕する。ハリルホジッチ前監督の電撃解任を受け、西野ジャパンが始動して2カ月あまり。戦力外扱いだったMF本田圭佑、FW岡崎慎司、MF香川真司のビッグ3を復権させ、チームづくりが急ピッチで進められているところだ。そんな西野ジャパンに対して1980年代の日本代表を牽引したレジェンドの木村和司さん(59)が、いつものように広島弁を交えながら、ストレートな物言いでアドバイスを送っ
■中島翔哉はなぜ入れんかったかのぅ
――5月30日の壮行試合ガーナ戦(0―2)の翌日にW杯本大会メンバー23人が発表されました。どんな印象でしょうか?
あんなもんじゃないかな。マスコミはサプライズが欲しかったと思うけどな。そんなもんじゃないよ。ただ早くメンバーが決まって良かった。これで選手同士で遠慮なく話ができるからな。
――4月7日のことでした。W杯開幕の2カ月ちょっと前にハリルホジッチ監督が解任され、JFA技術委員会のトップだった西野朗委員長が後任監督に指名されました。
ハリルさんだけど、どうもワシには日本人をリスペクトしている感じが伝わってこなかった。02年日韓W杯の代表を率いたのは、フランス生まれのトルシエ監督だった。ハリルさんはボスニア・ヘルツェゴビナ出身だけど、今はフランス国籍を持っている。日本サッカーとフランスの相性はどうなんだろう? ワシには、よぅ分からんけどな。
――ハリルホジッチ前監督の解任理由に「コミュニケーションが不足している」というのが挙げられました。
サッカーはチームゲーム。コミュニケーションは凄く大事だからね。監督を代えた理由の一番はそこ。確かにハリルさんは4年前のブラジルW杯でアルジェリアを率いて結果(ベスト16入り)を出したが、同じやり方でチームを強化しようとしても、アルジェリアと日本の選手は違うから。
――西野監督は3学年先輩になります。残念ながら、日本代表では一緒のプレー経験はありませんでした。
J1で歴代最多となる270勝を挙げている監督さんだ。もの凄い実績だよ。でも、代表選考でひとつ、気になったことがある。ポルトガルのMF中島翔哉をどうして入れんかったんかのぅ。
――中島は「ポリバレント(ここでは<複数のポジションをこなせる多様性>の意)ではなかった」と西野監督が説明しました。
そもそも日本代表というのは、スペシャルな選手の集まりだと思うけどな。いろいろなポジションができる選手って、そんな使い勝手のいい選手じゃなくて、やはり一芸に秀でたモンが集まってこそ、日本代表になるんじゃないのかな。
――西野監督は就任会見で「日本らしいサッカーをやりたい」と話していました。
ハリルさんは、就任するとデュエル(英語・フランス語で決闘。ここでは<1対1など球際の争い>の意)って盛んに言っとったよな。もともと日本人選手には強さ、速さ、高さなど外国人選手と比べると分が悪く、1対1の争いになると勝ち目が薄い。俊敏性やパスワークなど日本人選手の長所を伸ばしながら勝負すべきじゃないかな。ハリルさんがデュエル、デュエルと言うもんやから日本のサッカーは、変な方向に行きかけたような気がする。西野監督には日本人選手の長所を育てながら戦って欲しい。まぁ~強さや速さは、これから日本も強化していかないといけないが。