小川監督、宮本ヘッド、高田GM…僕を支えた恩師3人の教え
ヤクルトの小川淳司監督は、僕が2005年にヤクルトへ入団したときの二軍監督。新人ながら開幕一軍を果たしたものの、ほとんど試合に出られず5月に二軍落ちした僕は、小川監督から「数字をコツコツ積み重ねることがおまえの生きる道だ」と言葉をかけられました。
プロ野球選手にはいろんなタイプがいます。レギュラーを取るためにパワーをアピールしてクリーンアップを打てる打者を目指すのか、足や小技を生かしてつなぎ役として生きていくのか――。僕は外国人選手のようなパワーはなく、足が特別速かったわけでもありません。当時は、自分の能力にコンプレックスを抱いていたほどでした。
小川監督の言葉で僕は、とことん数字にこだわることにしました。打率や安打数だけでなく、出塁率や守備率……。豪快な空振りをしてアピールしたこともありましたが、結果を残すことで自分の価値を高めようと気持ちのベクトルを切り替えました。1年目にファームで64試合に出場し、打率.286の成績を残せたことで、翌年以降につなげることができたと思っています。
ヤクルトのヘッドコーチを務める宮本慎也さんからはプロの厳しさを教えてもらいました。僕がプロ入りする前から球界屈指のショートとしてプレーしていた宮本さん。送球ひとつとっても、きれいなスピンがかかっていて、吸い込まれるように相手のグラブに収まります。練習の姿からして衝撃を受けた僕は、とんでもない世界に来てしまったと思ったものです。