柔道“野獣”松本薫が引退「ママでも金」に子育て環境の壁
「これからはアイスクリームを通じて世界中の人に笑顔になってもらいたい」
五輪女子柔道57キロ級2大会連続メダル(ロンドン金、リオ銅)の松本薫(31)が7日、都内で引退会見。今後は所属企業のベネシードが新たに立ち上げたアイスクリームの製造、販売に携わるという。
鬼門とされた女子中量級のエースとして、五輪、世界選手権合わせて金3個を含む5個のメダルを獲得。実績十分なうえに、的確な助言は若手選手からも好評だった。引退後は指導者への転身を有力視されたが、畑違いの分野で第二の人生をスタートすることになった。
今後はベネシード柔道部の後輩にアドバイスはするものの、本格的な指導者就任に関しては「私は変わり者だから、選手も困るでしょう。他に人がいなくて困っているのであれば……」と、当面は社業に専念するとした。
唯一の心残りは「ママでも金」を実現できなかったことだという。2017年7月に長女を出産してからは家族や近所の協力を得られたが、日本ではまだ、女性アスリートが育児をしながら競技に打ち込める環境が整っていないという。
会見の最後に松本は、出産を経て復帰する後輩のためにも「(託児所など)第三者の助けが借りられればしっかりと練習をこなせるので、助かる」と環境整備を訴えた。