カール・ルイスも絶賛 サニブラウン“四刀流”の可能性は
陸上界のレジェンドが和製スプリンターの才能を絶賛した。
先の全米大学陸上選手権(テキサス州オースティン)の男子100メートル決勝で、日本記録となる9秒97をマークしたサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)。200メートルでも20秒08の好タイムを出した走りは、1984年ロサンゼルス五輪で4冠(100、200メートル、400メートルリレー、走り幅跳び)を達成したカール・ルイスを認めさせた。
現在は母校ヒューストン大のアシスタントコーチを務めるルイスは、「彼は素晴らしいアスリート。(全米選手権は)世界大会と同じぐらいの大会。ここでうまくやれたら、他でもやれる」と、将来性を高く評価した。
ルイスといえば、五輪には4大会連続出場を果たし、金銀合わせて10個のメダルを獲得。短距離に加えて跳躍種目をこなし、当時の陸上界を代表するスーパースターだった。ルイス以降、国際大会で4冠を達成した選手は皆無。サニブラウンら、現在のトップスプリンターによる四刀流は可能なのか。
「走り幅跳びは踏み切りまでの助走スピードが速いことが、遠くまで跳ぶための重要な条件です。100メートルを好タイムで走る選手はこの点で有利な半面、斜め上方向に踏み切るため、疾走方向からはブレーキがかかるような強く地面に反発する動作が入り、ブレーキ要素を極力減らしたい短距離との両立は簡単ではないといいます。ルイスが成し得たのは特別な才能の持ち主だったことが大きいと思います」(陸上担当記者)
男子100メートル(9秒58)、200メートル(19秒19)の世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)も、一時は走り幅跳びへの挑戦を明言しながら、実現しなかった。
サニブラウンに四刀流の活躍を期待するのは厳しいということだ。