二刀流復活の大谷翔平“最速170キロ・本塁打30本”に現実味

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 二刀流の完全復活に向けて視界良好なのがエンゼルスの大谷翔平(25)だ。ビリー・エプラーGMは、大谷の投手への復帰時期に関して「少し遅らせるか、検討している」と、大事を取って5月に先延ばしする方針を示唆している。つまり開幕から1カ月以上、野手に専念。投手復帰はそれからになる。

 トミー・ジョン(TJ)手術を受けた右肘に配慮し、投手としての復帰に慎重になっているのは事実だが、「それだけじゃない。エンゼルスには別の狙いもあると聞いた」と、さる放送関係者がこう言った。

「TJ手術明けの投手の投球回数は通常、シーズン150イニング。肘の状態が良くても、チームが優勝を争っていても、そこでシャットダウンして、それ以上は投げない。投手の将来を考えて無理はさせないのです。なので開幕から投げると、シーズン終盤の勝負どころ以前に150イニングに届いてしまう。投手として計算の立つ大谷にはシーズン終盤、あわよくばプレーオフまで投げてもらいたいのですよ」

 投手としての期待値が1年目以上に膨らむ大きな根拠が、このオフ、投手コーチに就任したミッキー・キャラウェイ(44=顔写真・CNP/DPA/共同通信イメージズ)の存在だ。昨季までメッツの監督を務めたキャラウェイはインディアンスの投手コーチ時代(2013~17年)、現役時にTJ手術を受けた自らの経験を生かし、多くの投手を再生した。11年に右肘にメスを入れたカルロス・カラスコ(32)が17年に最多勝(18勝)を獲得したのは、キャラウェイコーチのハンドリングも大きかった。

 同コーチは現役時代に5種類の変化球を駆使する技巧派だったことから、個々の投手に合った新球を伝授する。

 例えば、コリー・クルバー(33=現レンジャーズ)には2種類のスライダー、カーブをレクチャー。その結果、2度のサイ・ヤング賞(14、17年)を獲得するなど、メジャーを代表する右腕に成長した。

 大谷が移籍1年目に用いた変化球は、スプリット、スライダー、カーブの3種類。本塁打が量産される今のメジャーで有効とされるカーブの割合はわずか6・6%と、見せ球に使った程度だった。同コーチのもとでカーブを磨き、新たな変化球を習得すれば、投球の幅は広がり、少ない球数で相手打線を抑えることも可能だ。

マドン監督の采配もプラスに作用

 変化球を生かす直球の球速も期待できる。大谷は1年目に最速101・1マイル(約162・7キロ)をマークしたが、TJ手術によるプラスアルファがあるかもしれないと、スポーツライターの友成那智氏がこう言った。

「7月で26歳と、年齢的にも投手としての上積みは十分に期待できます。昨季の大谷は打者として出場しながら、投手としてリハビリを入念にこなしてきた。TJ手術を受けた投手は下半身強化や股関節の機能改善、投球フォームの見直しを行い、再発防止に努めると同時に投球に必要な筋力が鍛えられるのです。結果として球速が増すことになる。大谷も球威が増し、球速は自己最速を更新しても不思議ではありません。新たにマスターする変化球も織り交ぜれば、1年目以上に奪三振数(18年の奪三振率10・97)も増えると思います。防御率は3・3から3・5。QS(クオリティースタート=6回以上を3自責点以内)は6割近くを見込めるでしょう」

 新球をマスターして、なおかつ165キロの自己最速を更新――170キロ近い速球を投げるケースもありそうなのだ。

 新たにジョー・マドン監督(65)を迎えたこともプラスに作用する。レイズとカブスで地区優勝4回、最優秀監督賞を3回受賞。16年にはカブスを108年ぶりのワールドシリーズ制覇に導いたマドン監督は、常識にとらわれない采配や選手起用で知られる。

 今回は、大谷の年間の打席数を50くらい増やせることを理由に、投げるときはDHを解除する方針を明かした。

 大谷は日本ハム時代から、二刀流に関して特別な意識はない。投手をやりながら、攻撃時に打席に入るのはむしろ自然なことだと考えている。だとすれば、一試合の中で投げて打つ、リアル二刀流の実現が投打にいいリズムを生み、好結果につながる可能性は高い。

 大谷は過去2年間、打者として計792打席で40本塁打。約20打席に1本のペースで本塁打を打っている。メジャー3年目を迎えて、これまで以上に相手投手に適応するだろうし、マドン監督の言う通り50打席増えることを考慮すれば、30本塁打に手が届いても不思議ではない。

 新たに、飛びぬけた実績を持つ監督とコーチが加わったこともあり、今季は投打でパワーアップした大谷を見られそうだ。

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