2020年高校生ドラフト上位候補「新ビッグ3+2」の実力

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井上朋也(花咲徳栄・外野手・180cm 80kg・右投右打)

■ボールをつぶして飛ばす右のスラッガー

 中学時代、2017年の世界少年野球大会でボーイズ日本代表に選ばれ、世界大会を経験した。

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 大阪から埼玉の花咲徳栄に入学し、1年春からレギュラー。1年夏、2年夏の甲子園に右翼手としてスタメン出場した。現在、高校通算47本塁打。この冬、昨春守っていた三塁にも再挑戦している。プロ入りを視野に入れての再コンバートかもしれない。

 関東地区を担当する広島・尾形佳紀スカウトがこう言う。

「右の長距離打者で内野手なら、さらに評価は上がります。プロ入りを考えれば、三塁挑戦はプラスです。スイングが速くてパワーがあるので、インパクトが強い。ボールをつぶす力があって、他の選手とは打球音が違います。引っ張るだけでなく、逆方向へも長打が打てる。球を上から叩けるスイングで、木製バットも苦にしないタイプです」

 昨秋の関東大会で4強入りを逃し、センバツ出場は微妙な状況だ。

「三塁の守備が見てみたい。肩は強いので心配していませんが、内野手としてのスローイングや打球の処理ですね」(尾形スカウト)

 花咲徳栄はPL学園と並び、歴代3位タイの5年連続でプロ野球選手を輩出中。「6年連続」は12月に主将に就任したこの男次第である。

中森俊介(明石商・投手・182cm 86kg・右投左打)

■排気量上がれば全体1番人気も

 高校ナンバーワン投手の呼び声が高い最速151キロ右腕だ。昨年は春夏の甲子園で連続ベスト4。今春のセンバツ出場も有力となっている。

 パ・リーグ某球団の、関西担当スカウトが言う。

「コントロールがいいから大崩れ、自滅をすることがない。常時140キロ台の直球と多くの変化球を駆使する。フィールディングなど投球以外の部分も申し分なく、完成度が高い投手ですね。器用なので、変化球に頼り過ぎて小手先の勝負に走る時期もあった。昨年の夏以降、投球フォームを崩し、本調子を取り戻せないまま秋の大会を迎えたため、内容は良くなかった。3月のセンバツに出てきたら、この冬でどれくらい排気量が上がっているかを見ます。昨年の奥川(星稜↓ヤクルト)は3年のセンバツで格段にパワーアップしていて、ネット裏のスカウトがどよめいた。高校生なら変化球で抑えられるけどプロは違う。投球の基本は直球。直球の威力がさらに増せば、変化球は1人1球でいい。それくらい排気量がアップすれば、奥川クラス、今秋のドラフトでは全体の1番人気に躍り出る能力を秘めています」

 中森は「160キロ」を目標にこの冬、握力強化に取り組んでいる。

西川僚祐(東海大相模・外野手・186cm 95kg・右投右打)

■東京ドームの逆方向スタンドへ中学生でブチ込んだ天性の大砲

 千葉の佐倉シニアに在籍した中学時代、ジャイアンツカップ決勝で東京ドームの右翼席に一発を放ち、視察した当時の巨人高橋由伸監督の度肝を抜いた逸材だ。

 プロ顔負けの体格から、これまで高校通算53本塁打の右の大砲だ。

 日本ハムの山田正雄スカウト顧問がこう言う。

「パワーがあって、スイングが速い。ただ引っ張るだけでなく、広角に打てる。体の軸がブレないので変化球にも対応できる。ボールの見極めもいい。安田(ロッテ)や村上(ヤクルト)や石川(中日)のようなタイプの選手。体が大きく、パワーのある野手は、足と肩がいまひとつというケースが多いが、足や肩も合格点。昨秋の関東大会でも目立っていた。今年は大学生投手に逸材が多いが、今後の活躍次第でかなり上位で指名されるかもしれない」

 本塁打へのこだわりは捨てていないが、出場が濃厚となっているセンバツを前に、打率にもこだわっていくという。

高橋宏斗(中京大中京・投手・184cm 79kg・右投右打)

■回転が良く球速以上の体感

 最速148キロを誇る。昨秋の明治神宮大会の明徳義塾戦で自己最速タイの148キロをマークし、7回無失点。10三振を奪った。敵将の馬淵監督には「松坂以上の直球」と絶賛された。パの担当スカウトは「コントロールが良くてまとまっている。肘を柔らかく使えるのが特長。回転がいいから球にキレがある。球速以上に速さを感じるタイプ」と目を細める。

 明治神宮大会を制してまず1冠。春、夏の甲子園、秋の国体の「グランドスラム」を狙っている。達成すれば、松坂を擁した横浜以来、史上2校目の快挙となる。

「世代ナンバーワン投手を目指したい」

 明石商の中森に対抗意識を燃やす右腕が、出場が確実のセンバツで、さらに評価を上げる。

津田啓史(横浜・内野手・180cm 77kg・右投右打)

■鉄砲肩と俊足自慢、ショートの隠し玉

 中学時代は熊本中央ボーイズでU15日本代表に選ばれた。父は熊本工で野球部長を務める。それでも、より高いレベルでやりたいと進学先は名門・横浜を選んだ。1年春からベンチ入り。現在は主将を務める。

 同校OBの巨人・円谷英俊スカウトがこう言う。

「魅力は肩の強さ、足の速さですね。フットワークは軽快で三遊間の深いところからダイレクトで矢のような送球ができる。遠投は110~120メートルくらい投げられると思います。右打者で一塁ベースまで4秒を切ってくるので、トップクラスの脚力です。打撃は広角に打てる中距離打者。三拍子が揃っています」

 身体能力の高い遊撃手が、上位候補に殴り込みをかける。

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