“時の人”大谷ついに日本人最多32号!エ軍60億円、スポンサー1000億円のウハウハ…五輪以上の宣伝効果か

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 エンゼルスの大谷翔平(27)の注目度はグラウンド外でもうなぎ上りだ。

 8日(日本時間=以下同)のレッドソックス戦に「2番・DH」で出場。2-2と同点の五回、相手先発左腕ロドリゲスから右翼スタンドに叩き込む32号ソロを放った。

 飛距離132メートル、打球速度184キロの一発で、ヤンキース・松井が2004年にマークした1シーズン31本塁打を抜いて日本勢最多記録を更新した。大谷は、この打席で自打球を両足に当てて苦悶の表情を浮かべた。痛みに耐えながら、19年の19勝左腕を打ち崩した。この日のエンゼルスは5-4で勝ち、大谷は最終的に4打数2安打1打点、チームの2連勝に貢献した。

 前日のレッドソックス戦では「2番・投手」で出場し、7回2失点で今季4勝目を挙げ、日米通算50勝目を達成。打者としても適時二塁打を放つなど、1安打1打点をマークした。リアル二刀流での活躍に、敵将のコーラ監督も「アメージング。非現実的だ」と苦笑いを浮かべるしかなかった。

 両リーグトップの32本塁打を放ち、投手としても4勝。年間10試合以上に登板し、30本塁打以上をマークするのは史上初で、ベーブ・ルースの記録を102年ぶりに更新したと話題になった。

 14日午前に行われるオールスター(デンバー)は投手と野手の両方で選出され、地上波のテレビ朝日系列で、急きょ生中継を行うことを決定。米国内では米・映画批評サイトが毎年発表している「世界で最もハンサムな顔100人」にノミネートされたことが話題になった。全米の野球ファンが注目する球宴の舞台で大暴れするようなら、日本はもちろん、米国内でも大谷フィーバーが過熱することだろう。

 そんな中、プロ野球阪神の優勝や上野動物園の双子パンダ誕生など、数々の経済効果を算出する関大名誉教授の宮本勝浩氏は、大谷の活躍による2021年の日米における経済効果が約240億1674万円に上ると試算した。

 大谷が生み出す巨額の経済効果により、エンゼルスは60億円規模の収入を得ることになりそうだ。

 前出の宮本氏は、大谷の活躍によって1試合につき、主催試合の観客動員が約3000人増えると想定。年間で約24.3万人の増加が見込まれ、これに観客のチケット代や球場での飲食代を加えると、約22.8億円の増収となるという(グッズ購入代は除く)。

■登板日は観客増

 実際、大谷が登板した試合の観客動員はこの日は約2.8万人。6月18日は約3万人、同24日は平日のデーゲームにもかかわらず、2万人強を動員するなど、他の試合と比べて多くのファンが球場に足を運んでいる。今週6日は日本のゲーム会社が企画し、先着順で配布された“大谷枕”を求めるファンが球場入り口に長蛇の列をつくるなど、今季最多の約3.8万人が詰めかけた。

 さらに、大谷グッズの売り上げ(約12億円)、NHKがMLBに支払う放映権料(30球団で分配された金額=約2.6億円)を合わせた金額が14.6億円となった。経済誌記者が言う。

「バックネット裏の『回転式広告』も大きな収入源。エンゼルスタジアムの回転広告料は半イニングで800万円程度といわれている。大谷の打席時に広告を出す場合、大谷は7日時点で年間658打席ペース。主催試合での打席を半分の329打席とすると、約26億円が広告収入となる。大谷の今季年俸は約3.3億円と格安ですから、エンゼルスは笑いが止まりません」

株価が急上昇

 スポンサーも「大谷効果」の恩恵にあずかっている。大谷は現在、JAL、デサント、アシックスなど6社とスポンサー契約を結び、三菱UFJ銀行、東京西川のCMに出演している。各社は二刀流の活躍によって宣伝効果が増すだけでなく、複数の企業では株価が急上昇しているのだ。

 中でも大谷へ用具、アパレル提供をしているアシックス、デサントの伸びが凄まじい。

 アシックスは5月中旬以降、デサントは6月以降に株価が高騰。開幕直前の3月31日と7月7日15時現在とを比較すると、アシックスは1765円から約800円増の2555円。デサントも1882円から約1100円増の2972円。時価総額は500億円以上増えた。

 前出の宮本氏が言う。

「大谷選手の活躍だけが株価を押し上げる要因にはならないが、開幕前と比べて株価が大きく上がっているのを考慮すると、少なからず『大谷効果』はあると言っていい。特にデサントは本塁打を量産し始めた6月に急上昇しているわけですから」

 宮本氏は、大谷に対するスポンサー料を1社2億円と推計。

「今年、契約更新を迎える企業もあり、最低でも倍額となる1社4億円に跳ね上がるとみています」(宮本氏)

■自動車、IT、重工業

 スポーツファンでビジネス評論家の菅野宏三氏も、「『大谷効果』は今後、ますます大きくなる」と、こう続ける。

「日本の国内企業が大谷選手のもとに殺到するでしょう。世界最高峰の舞台での活躍はインパクト抜群。ルックスはいいし、岩手県出身で素朴かつ粘り強い印象でファンの好感度も高い。IOCだけが潤う東京五輪のスポンサーよりも、よほど広告効果があると思います。大谷は車の免許を取ったそうだし、自動車メーカーは垂涎の的ではないか。米国企業からのオファーもあるでしょう。ニューヨークのヤンキースファンが『大谷、大谷』と騒ぎ始めるなど、全米で注目が高まってきた。韓国や台湾も大谷人気が上がっていますから、『国内+アジア市場』を見据えて、グーグル、アップルなどIT企業、バイデン政権のインフラ投資政策によって恩恵を受けるIBMやキャタピラーといったハイテク、重工業企業が触手を伸ばす可能性があります」

 今オフ、日米企業による大谷争奪戦が激しくなりそうだ。 

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