甲子園出場10校の部長に緊急取材!「コロナ禍と豪雨のテンヤワンヤ」実況中継

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 陽性者13人に、濃厚接触者が8人。コロナ禍によって、一度も戦うことなく甲子園を去ったのが宮崎商(宮崎)だ。初戦を突破した東北学院(宮城)は、選手1人が陽性判定を受けたことで2回戦を辞退したほど。宮崎商も東北学院も入念なコロナ対策を講じていたにもかかわらず感染者が出たわけだから、他の出場校にとっても対岸の火事では済まない。明日は我が身と神経をすり減らしている。

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■宿舎でクラスター

 たとえば、西日本短大付(福岡)と東明館(佐賀)は、同宿している宿舎の従業員1人がコロナに感染。地元保健所によれば、この従業員の濃厚接触者はなかったにもかかわらず、両校は万全を期して別の宿舎に移動したほどだ。

 そんな中、宿泊するホテルでクラスターが発生、宿舎を変更した学校も中にはある。

「宿舎に関しては高野連の方からノーコメントと言われていますので」と、その学校の野球部長がこう言う。

「(クラスターが発生した団体とは)動く時間帯が違いましたし、ウチは感染対策を入念にやっています。1人部屋で、マスク、手洗い、消毒を徹底。食事は朝晩ホテル、昼は練習先で弁当、もちろん黙食です。ホテルのすぐ近くにコンビニがあるので、時間を指定して行くことはありますけど、その時間以外は外に出ません。あとはホテルのちょっとした空きスペースでスイングをしたり、玄関先で道具の手入れをするくらいです」

 努めて平静を装いながらも、しかし、内心は気が気じゃないのではないか。

大阪にいるのが怖い

 18日時点で雨天順延が過去最多の6回。球児たちはただでさえ緊急事態宣言下の大阪や、20日から緊急事態宣言に移行する兵庫に滞在しているうえ、順延に次ぐ順延で長逗留を強いられる。長期間、コロナにおびえなければならないのだ。

「室内で練習する場合は換気に加え、クーラーや扇風機を回して空気の循環をしながら。練習自体も2~3班に分け、密にならないようにしています」(長崎商の奥村野球部長)

「コロナに関してはピリピリしていますよ。練習と食事以外での外出時間は一切ありません。これは沖縄を出るときから徹底しています。マスコミはもちろん、学校関係者からも隔離してます。ベンチ外の44人の部員たちは16日の1回戦の直前に現地入りしましたが、ホテルも別で、彼らとも接触できないようにしています」(沖縄尚学の大城野球部長)

「滞在が長引いて日用品が不足するので毎日、1時間ほど外出時間を設けているのですが、17日は1人、コンタクトレンズのケア用品を買いに出ただけ。やはり緊急事態宣言下の大阪にいるのが怖いのでしょう」(青森・弘前学院聖愛の太田野球部長)

「選手同士のコミュニケーションはラインやズームで行うなど工夫しています。昨年4月、1度目の緊急事態宣言が出たとき、選手が寮から自宅に戻ったときの経験が生きています」(埼玉・浦和学院の森野球部長)

「うちのチームは監督や選手全員がワクチンを接種しているので、必要以上にコロナを怖がらないようには心掛けています」(高知・明徳義塾の佐藤野球部長)

■雨天練習場の確保

 大会期間中の練習場は高野連から割り当てられるものの、必ずしも雨天練習場があるとは限らない。各校とも雨の際の練習場の確保を強いられている。

「雨の際は卒業生の力を借りながら、大阪の企業さんの雨天練習場を転々としております」(鹿児島・樟南の原田野球部長)

「大阪に行って、私の出身中学校のクラブチームの室内練習場を使いました。倉庫みたいな2階建てで、1階がバッティングスペース、2階がブルペンになっています」(山口・高川学園の西岡野球部長)

「雨のときは明石にある三菱重工さんの室内練習場をお借りして練習しています。三菱重工のマネジャーさんが愛媛の済美出身だったので、お話もスムーズでした」(愛媛・新田の浜田野球部長)

 こんなケースもある。

「以前だと大阪や兵庫の高校にお願いするケースもありましたが、今回はコロナの状況もあるのでお願いしないようにしています」とは東東京・二松学舎大付の立野野球部長。

 出場校の中には大阪の高校の室内練習場の使用を打診し、断られたところもあるという。コロナ禍が原因だ。

 そんな学校のよりどころのひとつになっているのが兵庫県西宮市の「ビーコンパークスタジアム」。屋外グラウンドもあるこの施設は、室内のバッティングセンター内にブルペンや軽いノックやキャッチボールができるスペースがある。

 基本的に貸し切りで料金は1時間2万5300円。同施設によれば「今大会では10校ほどに利用していただいている」という。

 コロナ禍と降り続く豪雨で、各校ともテンヤワンヤなのだ。

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