<9>“代表実績ゼロ男”鎌田大地の独1部移籍に驚きの声が上がった
父・幹雄さんの方には「これからは週末の試合を楽しみにしててね」の一文が添えてあった。
「子供の頃から試合には足しげく通いましたが、高校生くらいになると思春期のせいか、『来んでええわ』とアッサリしたもんでした。『楽しみにしてて』なんて言われたのは初めて。本当にうれしかったですね」と笑顔をのぞかせる。
■リオ五輪代表落選ショック
A契約移行直後には16年リオ五輪代表候補にも選ばれた。が、手倉森誠監督(現仙台監督)のお眼鏡にかなわず、同年のU-23アジア選手権には参戦できなかった。その悔しさを胸に秘め、鎌田はオフを利用して単身で渡欧し、スペインではバルセロナの試合も見た。
「海外に行けばサッカー選手としても人としても変わるとみんなに言われたし、人として大きくなりたいな、と。実際、向こうの試合を見て『サッカーをやりたい!』という気持ちにもなれた。五輪代表落選ショックも払拭できました」と本人は16年1月に語っていた。
東山高時代は「自分はどこで愚痴を言ったらいいんや」と母にこぼしていた息子が、大きな挫折に直面しながら乗り越えられる大人になった。間近で見守っていた両親にとっては、頼もしく映ったに違いない。