ドバイ国際大会は5位に終わる…ビーチサッカー日本代表の課題とは?

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 ビーチサッカー日本代表が、強豪相手に勝利を収めて有終の美を飾った。UAE・ドバイで開催されたビーチサッカーの国際大会「インターコンチネンタル ビーチサッカーカップ2021」の「5位・6位決定戦」(日本時間6日午後9時15分キックオフ)で欧州の強豪スペイン相手に5-4と接戦をモノにし、5位に食い込んだのである。

 今大会のグループリーグ3試合で日本代表は、もどかしい戦いを強いられた。

 8月のロシアW杯の決勝で戦った相手ロシアとの初戦は6ー7で逃げ切られ、アジアの宿敵イランと顔を合わせた2戦目は、試合を通して波に乗れずに1-6と完敗を喫した。続く3戦目の相手パラグアイは2019年のパラグアイW杯、ロシアW杯でも勝ち点3を挙げているが、ドバイでは4-6で逃げ切られてしまった。 

 ロシアW杯とドバイ国際大会のグループリーグとでは、日本代表の「何が違っていた」のだろうか? 選手兼監督を務める茂怜羅オズ(35)が、7日のオンライン会見でこうコメントした。

「ロシアW杯が終わってから(9月に予定されていた)全日本ビーチサッカー大会(兵庫・明石)が中止になったり、活動の機会がなかったことで選手のコンディションなどが落ちていました。それでもグループリーグ3試合を終えてコンディションも上がっていき、5日の(順位決定戦プレーオフ)UAE戦の前、選手に『目標のベスト4は逃したけど、残りの2試合に勝って良い形で(今大会を)終わろう。ここから<新しいスタート>にしよう』と話しました」

 日本のビーチサッカー界を牽引してきた大黒柱の激にベテランも若手を奮い立たないわけがない。

 5日に行われたUAE戦では24歳の松岡吏(つかさ)、21歳のチーム最年少の田中颯(はやて)の代表初招集組が記念すべき代表初ゴールを決めるなど、6-4のスコア以上に日本代表の強さが際立った。

 そして迎えたスペイン戦。大会終了後に「2021年ビーチサッカー年間最優秀選手」に選出されたオズが、ハットトリックを決めて日本代表を勝利に導いた。

 第1ピリオド(P)序盤にスペインにゴールを決められるも、残り2分でオズが近距離のFKを確実を決めて同点。その直後、右サイドの大場崇晃(28)からのグラウンダーのパスを奥山正憲(35)がゴールに押し込んだ。

 2P早々にオズがゴールを決め、日本が3-1とリードして迎えた3Pの8分。2013年大会からW杯4回出場と代表常連ながら、今回は追加招集となった松尾那緒弥(33)が、久しぶりの代表ゴールを決めて存在感をアピールした。

 右サイドで奥山が相手選手2人をかわし、ゴール前にゴロのパスを送った。ゴール正面の田中には合わなかったが、ファーサイドからきっちり詰めていた松尾が押し込んだのである。 

 松尾は、2Pに右サイドのオズからのパスを受け、絶妙トラップからドンピシャの右足ボレーシュートを放ったが、ボールはクロスバーに当たって枠外に飛んでいった。

日本のビーチサッカーは試合によって「波がある」

 7日のオンライン会見で「練習でもやっている形でしたし、トラップした瞬間に(このままシュートを打てば)入ると思ったのですが……。『持ってないな』と思いました」と松尾は苦笑いしながら今大会を振り返った。

「ロシアW杯と同じ気持ちでチーム全員が臨んだつもりでしたが、日本代表に対する『周囲の見方』が変わったことを感じました。W杯準優勝をリスペクトしてくれる意識もあれば、どうして日本が準優勝なんだという意識も……そうしたことが<目に見えないプレッシャー>になり、臨機応変にプレーできなかったのかも知れません。UAE戦の前に<ロシアW杯の時のように相手のアラ(MF)の裏に出る動き>をやって<相手を走らせよう>とオズ監督に言われ、個人的な改善点として意識してプレーしました。ロシアW杯でゴールを決められず、ドバイで『このところ取れてないね』とチームメートが言ってくれ(たことを発奮材料として)、ゴールを決めることができました。『やっと来た!』と思いました」

 スペイン戦は、3Pの残り2分24秒のオズのゴールが決勝点となり、ハットトリックを決めたオズ率いる日本代表は、5位という成績でドバイの国際大会を終えた。

 オンライン会見でオズに「年間最優秀選手に選ばれたことへの思い」について質問が飛んだ。

「小さい頃から<世界一のビーチサッカーの選手になる>という夢がかないました。とても嬉しく思います。(前回)パラグアイW杯の大会MVPに選ばれて『(世界一になる)チャンスかな?』と思いましたが、選んでもらえなかったので『いつか!』というモチベーションになりました。本当に嬉しく思います」と笑顔で答えてくれたオズだったが、「日本ビーチサッカーの課題は?」という質問には、厳しい表情でこうコメントした。

「ロシアW杯の準優勝で日本は世界から注目されるようになりました。JFAに予算を組んでいただき、私たちは優勝を目標に今大会に参戦しました。しかし5位という結果となり、とても悔しく思っています。日本のビーチサッカーは、試合によって<波がある>のが課題です。もっと自信を持つことも必要です。私たちは『世界のトップレベルにある』と信じて戦わないとバランス良く、安定したプレーができなくなる。ライバル国は若手が成長して代表入りしているが、日本は場合は国内に有望な若手が10人位いるとはいえ、日本代表に入るまでの<準備>をどうするのか、まだまだ整っていません。JFAや田畑コーチと相談しながら進めていきたい」

 言うまでもないが、男子サッカーのフル代表でW杯のファイナリストを名乗れるのは、ビーチサッカーだけである。女子は、なでしこジャパンが2011年のドイツW杯を制して世界女王になっている。世界王者に一番近い存在であるビーチサッカーをJFAがどう手厚くサポートしていくか、注視していきたい。

大場崇晃が「代表100試合出場」を達成

 スペイン戦に出場した大場崇晃が「日本代表通算100試合出場」の偉業を達成した。田畑輝樹コーチ、GK照喜名辰吾、茂怜羅オズ、山内悠誠に次いで5人目。「背番号100」の記念ユニフォームが贈られた。

▽大場崇晃のコメント

 スペイン戦の前にオズ監督、田畑コーチ、チームメートが『大場のために必ず勝利を』と声を掛けてくれました。実際、強豪のスペイン代表に勝利し、100試合目を祝うことができて素直に嬉しく思います。記念ユニフォームをいただけたことを光栄に、そして誇りに思います。19歳で代表候補に選ばれるきっかけを作ってくれた田畑さん、多くのことを教えてくれた(前監督の)ラモスさん、お二人にはとても感謝しています。もちろん歴代の代表の先輩方、マルセロ監督、オズ監督、これまで所属したクラブのチームメート、日本代表を応援していただいているすべての方々にも感謝を伝えたいと思います。初めて日の丸を付けてから挫折、困難など苦しいことも多くありましたが、そのたびに家族や仲間、周りの人たちに助けられ、壁を乗り越えながらここまで来ることができました。本当に幸せな人生を歩ませていただいています。これからも代表に選出され、多くの子どもたちや応援していただいている方々に感動や笑顔を届けられるように誠心誠意プレーしたいと思います。日本サッカー協会の皆さまにも、これまで戦ってきた各国の代表選手にも、心から感謝とリスペクトを贈ります。

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