労使対立の激化は米球界の終わりの始まり 動画配信の一般化で視聴者は奪い合いの状況
労使協定の改定を巡り、大リーグ機構及び球団経営陣と大リーグ選手会(MLBPA)とが行っていた交渉が決裂した。
公式戦は当初予定されていた3月31日の開始が変更され、現時点で最速でも4月7日の開幕となった。試合数も暫定措置として162試合から156試合に削減されることになる。
大リーグは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けた2020年にも公式戦の開幕日を変更し、試合数も60試合に変更している。そのため、日程や試合数の変更そのものは例外的ではあっても、過去に事例がない対応ではない。
しかし、労使交渉を原因とする変更は、1994年に起きた大リーグ史上最長のストライキの影響を受けた95年以来27年ぶりとなる。
その後、大リーグは3季にわたり来場者数の低迷を余儀なくされ、98年のマーク・マグワイアとサミー・ソーサの「本塁打新記録争い」によって苦境を脱することが出来たのは、記憶に新しいところだ。
当時、ワールドシリーズのテレビ視聴率の低下と視聴者数の減少が進み、NFLのスーパーボウルとの差が拡大する一方であった。それでも、「ケーブルテレビの普及によるテレビ視聴行動の多様化」や「重要なのは視聴率ではなく全視聴者に占める割合」といった議論を行うだけの余裕があった。