大谷翔平WBC出場に「3つの障壁」エ軍が出場容認も鵜呑みにできないワケ

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 エンゼルス・大谷翔平(28)の体が悲鳴をあげた。

 日本時間22日のタイガース戦にリアル二刀流で出場したが、4回を1本塁打含む5安打3失点。「ウイルス性胃腸炎」により、五回の第3打席で代打を送られ、8敗目(10勝)を喫した。

 大谷は試合後、朝から胃の調子が悪かったと明かし、「単純な疲れ。(嘔吐で)戻してはいないので大丈夫かなと思います」と軽症を強調したものの、球団はその後、「ウイルス性胃腸炎」と発表。クラブハウスでは食事を取るなどしたそうだが、決して楽観できない。

イチローも苦しんだ胃腸の疾患

 かつての安打製造機も胃の不調に悩まされたからだ。イチローはマリナーズ時代の2009年、日本が連覇を果たした第2回WBCで極度の不振や重圧から大会途中に胃炎を患った。閉幕後の3月下旬、マ軍合流後に胃潰瘍と診断され、胃の出血が見つかった。チームドクターからは練習を禁止され、開幕から故障者リストに入った。

 鳥居内科クリニック(東京・世田谷区)の鳥居明院長はこう言う。

「報道を見る限り、肉体的、精神的疲労によるストレス性の急性胃炎だと思われます。グラウンドでは投打にわたって緊張を強いられている状態と言っていい。シーズン終盤に入って心身ともに疲労がピークに達したために発症したのではないでしょうか。大谷選手のようなケースではストレスの原因が解消されれば症状は改善されるはずです」

 もっとも、極限の状態で強力なストレスが加わり続ければ、イチローのように急性胃粘膜病変(嘔吐や出血を伴う胃潰瘍など)にかかる可能性もあるという。大谷はメジャー史上初の規定投球回(162)と規定打席数(502)の同時到達を目指しているが、症状が悪化すればシーズンのみならず、オフの調整に狂いが生じる可能性もある。自身初の日本代表入りが“内定”している来年3月開催のWBC出場にも影響しかねないのだ。

■400億円規模の大型契約

 ただでさえ大谷は投打二刀流をこなし、体への負担は大きい。エンゼルスのミナシアンGMは、すでに大谷の出場について「私はWBCを支持する。彼は特別な選手だ。出場したいというのであれば阻むつもりはない。サポートする」と発言。日本のメディアは「出場容認」と大騒ぎしているが、GMの発言は決して鵜呑みにできない。大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏が言う。

「来季終了後にはFAになるため、エ軍は今オフ、来季からの長期契約を結ぶ可能性がある。大谷は最低でも総額400億円規模の契約になると予想されているが、大型契約を結べば一転、金も出すが口を出すモレノ・オーナーの意向もあり、ミナシアンGMは二刀流のWBC出場に難色を示すかもしれません」

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