新任の中日・和田一浩打撃コーチも口にする指導の神髄「教えない教え」
「来年の今頃、彼が同じようなプレーをしていたら確かにストゥーピッドだ。でも、彼はルーキーなんだ」
日本なら「そんな打球も捕れんのかっ!」と罵声が飛び、すぐに身ぶり手ぶりの指導が始まるところ。でも、向こうのコーチは、「ルーキーなんだからできなくて当然だよ」と、平然と受け入れるのだ。打撃練習を見ていて、まったく打球が前に飛ばない選手が、「どうすればいい?」と助けを求めてきた。私は「ステイバック。もっとバックスイングでタメをつくればいい」とアドバイス。要領をつかんだようで、打球が飛び始めた。すると、コーチがやってきて、私にこう言うのだ。
■目からウロコの米視察
「ミスター・ゴンドウ、教えてくれるのはありがたい。でも、教えられて覚えた技術はすぐに忘れる。逆に自分でつかんだコツは忘れない。だからコーチは、選手が自分でコツをつかむまで、じっと見守ってやらなければいけないんだ」
これぞ、指導の神髄と目からウロコが落ちた。思えば、自分の現役時代もそうだった。指導者からのアドバイスはあったが、失敗と反省と成功を繰り返しながら、自分で考え、創意工夫してステップアップしていったじゃないか。