著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

カタールW杯で歯がゆい思いをした板倉滉は「次のW杯はやってやる」とリベンジを誓った

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W杯8強は僕ら選手にとってそんなに簡単な道のりではない

 高みを目指す野心や闘争心は高まる一方のようだ。

 実際、ボルシアMGにはフランス代表FWテュラムやドイツ代表FWホフマンらがいて、日々の練習から世界最高峰レベルを体感できる。それは板倉のアドバンテージだ。 

 2月4日に直接対決した吉田からは「もっと空中戦の競り合いに勝たないといけないね」と注文を付けられたが、そういった課題にもアグレッシブに取り組んでいる。

「自分が1対1のところでしっかりガチっと奪い切れる力というのをもっともっと伸ばしていけたら、存在感も出るし、さらにステップアップもできると思う。競り合いの部分もこのチームにいたら確実に求められるし、よりチャレンジしていけるところはある。そういう細かいことをひとつひとつ伸ばして、このチームでしっかり出続けて結果を残すこと。それが先につながってくると僕は考えています」と地に足を着けて成長していく構えだ。

「W杯のベスト8も日々の積み重ねでしかないと思うんです。全ての試合に出て勝っていくーー。その積み重ねが2026年北中米W杯に繋がるんです。言葉で言うのは簡単だけど、僕ら選手にとってはそんなに簡単な道のりではないんです」と性急に結果を求めがちな周囲に警鐘を鳴らすことも。

 確かにフットボーラーの歩みというのは一足飛びにはいかない。板倉の川崎時代の後輩・三笘にしても、川崎トップ昇格を断って4年間、筑波大学で自己研鑽を図り、2020年に入った川崎で飛躍した。

 が、その時点ですぐにチームで先発の座を射止めたわけでも、日本代表入りしたわけでもなかった。本当の意味でブレイクしたのは今年に入ってから。それだけ時間がかかるものなのである。

 特にDFは修羅場をくぐる経験が必要不可欠だ。 

 欧州で足掛け13年間戦っている先輩の吉田も、数多くの挫折を乗り越えてここまで辿り着いた。

「これからサッカーは変わっていくし、間違いなくインテンシティ(強度)がより高くなっていく。その中で強いチームには1人で守れる選手が増えている。日本にもそのあたりが求められていく。冨安(健洋=アーセナル)や板倉にはそうなってほしい。選手としてのキャリアも、代表キャリアも行けるところまで行ってほしい」と長く主将を務めてきた吉田に託された以上、板倉としては全力でやるしかない。

 東京五輪世代では中山雄太(ハダーズフィールド)とともに最年長だが、中山がカタールW杯をケガで欠場した分、板倉にはリーダー格としてより重要な責務を果たさなければならない。本人もそういう自覚はあるはず。

 順当に行けば、次期主将は遠藤航(シュツットガルト)だが、持ち回り制となれば板倉がマークを巻く機会も多くなるだろう。

 これからの3年間は人間的な部分も含めて、彼には「最終ラインの大黒柱」に君臨してほしい。

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