元阪急投手・山田久志“史上最高のサブマリン”の矜持「負けた時に記事になるのが真のエース」
山田久志(元阪急投手)
歴代7位の通算284勝を記録。「史上最高のサブマリン」と称されるのが阪急黄金時代を築いた大エース山田久志だ。
アンダースローで下から浮き上がるストレートにカーブ、スライダー、シュートと投じたボールはどれもが一級品。中でも高速で鋭く落ちるシンカーは相手の強打者をきりきり舞いさせた伝家の宝刀であり、それは山田の代名詞ともいえた。
1969年に入団してからずっと、アンダースローながらスピードで押しまくる本格派のピッチャーだった。「スピードさえあればど真ん中に投げても打たれない」。そんな自信を持っていた山田は71年、72年と2年連続で20勝を記録するなどまさに押しも押されもせぬ球界のエースといってもいい活躍を見せた。
しかし、自分でもスピードだけの投球はそろそろ限界ではないか、と思い始めていた山田の前にとんでもない新人が現れた。
■山口高志の速球は「品がないほどの速さ」
75年に関大から松下電器を経てドラフト1位で阪急に入団してきた山口高志だ。169センチと小柄ながら、全身を使って投げ下ろすその速球は山田をして「品がないほどの速さ」と驚かせた。