1998年のロッテは「史上最強の最下位」18連敗のワースト記録も投打の成績はトップクラス
「コミ、もうおまえしかいない。この試合任せる!」
続投だ。難敵イチローを打ち取ってピンチをしのぐと、迎えた最終回。先頭打者に死球を与えたものの、最後は併殺打に仕留めてゲームセット。小宮山さんは140球6失点完投勝利で、ついに長い長い連敗が止まった。
この瞬間、ベンチにいた私は、不思議と喜びは感じなかった。ああ、やっと勝てた、という安堵の気持ちが強かった。後で聞くと、ナインのほとんどが同じ気持ちだったようだ。「7月9日」はロッテナインにとって忘れられない「記念日」となった。
■「七夕の悲劇」黒木は投手2冠
「七夕の悲劇」を演じた黒木知宏は、この敗戦によって知名度がアップ。その後、初めてオールスターに選出された。
この連載では「3連続で抑えに失敗」とか「あと1球から同点2ランを被弾」とか、打たれた場面ばかり振り返ったが、このシーズンは投手3冠まであと一歩(最多勝=13、最高勝率=.591、防御率2位=3.29)という素晴らしい成績を残すことになる。