「山手線に新駅ができる本当の理由」市川宏雄著

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 一昨年、新聞に「山手線に40年ぶりの新駅」という見出しが躍った。品川―田町間は2・2キロと山手線内で最長の駅間距離。そこに新駅を建設するというのだ。予定地は品川・田町のほぼ真ん中で、現在の地下鉄・泉岳寺駅のすぐそば。ここに新駅ができると何が変わるか。

 第1は東海道新幹線停車駅の品川駅地区が一気に大規模繁華街になる可能性。羽田空港も近いため国際ビジネスや観光面も期待できる。また次世代新幹線のリニア新幹線の発着駅になる可能性があり、海側の広大な開発用地はウオーターフロントの魅力にあふれたフロンティアだ。用地はもともとJRの車両基地で、山手線・京浜東北線の線路を東海道本線そばに200メートル移設するなどという離れ業も自分の土地だからできる話なのだ。

 公共政策の専門家である著者によれば東京はもともと多極都市。江戸時代は吉原遊郭に対して非公認の「四宿」(品川・板橋・千住・内藤新宿)の岡場所が栄えていた。これが現代では数キロずつずれて渋谷、池袋、上野、新宿になっているという。経済効果という皮算用に胸躍らせる代表的論考。

(KADOKAWA 740円)

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