「宇沢弘文のメッセージ」大塚信一著
著者は、ノーベル経済学賞に最も近いといわれた数理経済学者・宇沢弘文(1928~2014年)に伴走してきた編集者。20世紀後半、宇沢は経済学者としての輝かしい評価を自ら否定する形で、日本社会が直面している課題についてたった一人で立ち向かっていった。そんな宇沢の著書や身近で聞いた言葉を読み解くテキスト。
アメリカで実績を残して帰国した宇沢が、自動車の是非について問題提起した名著「自動車の社会的費用」をはじめ、公害・環境問題に取り組む中で感じた近代経済学・新古典派理論の制約と限界に対する格闘の軌跡をつづった「近代経済学の再検討」など、その背景や骨子を紹介しながら深き思想の核心に迫る。(集英社 740円+税)