「気象庁物語」古川武彦著
明治8(1875)年、東京気象台が10人足らずの陣容で発足。以来140年、その後身の気象庁は、5000人の職員と年間予算700億円を費やし、天気から地震や津波、火山などの自然現象を24時間体制で観測している。本書は、災害や異常気象と戦い続けてきたその歴史を振り返るノンフィクション。
明治20年代、自ら富士山頂に観測小屋を建て通年観測を試みた野中到、日露戦争で連合艦隊司令長官の東郷平八郎が送った電報に引用された「天気晴朗ナレドモ波高シ」を予報した岡田武松など、先人たちのドラマをはじめ、富士山レーダーや気象衛星ひまわりなど、観測システムや技術の開発の足跡まで、豊富なエピソードを交え、知られざる「戦う技術官庁」の足跡をたどる。
(中央公論新社 740円+税)