【安倍政権の正体】閣僚の失言や醜態が続出し、アベノミクスの雲行きも怪しくなった安倍政権。そのゆくえは?

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 現在、安倍政権に対して大手マスコミの大半が弱腰なのは周知のとおり。それどころか露骨なヨイショに走る体制派の記者も少なくない。それに対して徹底監視の論陣に並ぶのが記者クラブには加盟しない週刊誌系のジャーナリストたちだ。本書はまさにその典型。

 中東における日本人人質事件、日韓関係、安保関連法、原発問題、TPP問題など国民周知の事柄を通して安倍政権の真相に迫る。人質になったジャーナリスト・後藤健二さんがイスラム国に殺害されたあと、安倍首相は「痛恨の極み」と口にしながらも反省の弁は一言もなかった。また露骨な言論・報道介入の先兵となった籾井NHK会長体制のもとで、NHKは慰安婦問題などなかったかのような顔を決め込んでいる。

“政治の師匠”ともいうべき小泉元首相や身内の昭恵夫人が脱原発を勧めても首相は馬耳東風で聞き流すだけ。自分に都合のいいことだけを耳に入れたがるのは政治家の常だろうが、それにしても安倍首相の場合は度が過ぎるのだ。

 アメリカ追随の「アベ土建政治」に対する容赦なき批判。(七つ森書館 1800円+税)

「安倍官邸の正体」田﨑史郎著

 政治記者の使命は政治構造の解明にあるという著者。時事通信で35年間、政治報道畑を歩んだ著者は「政治家が小粒になったといわれる。私はそうは思わない。安倍首相、菅義偉官房長官、石破茂地方創生相らは私にとって、熱を感じる政治家だ」という。小泉元首相はワンフレーズ・ポリティクスで田中角栄以上に庶民の心をとらえた。

 それに対して安倍首相の発信力は劣るものの、「『安倍さんのためなら何でも汗をかく』という同志には恵まれている」とも。百戦錬磨の財務省でさえ押し切ってしまう第2次安倍政権の力の源泉を、政権寄りの立場で解明する。(講談社 800円+税)

「安倍晋三「迷言」録」徳山喜雄著

 朝・毎・読・日経の全国紙4紙を毎日読み比べ、その内容を精査する。現役のジャーナリストでさえおいそれとできないこの作業を続行し、プライベートなメルマガで配信する著者。本書はその積み重ねの中から得られた政権のふるまいとメディアの言論、そして世論の動きを見通した時局分析。

 自分に向けられた批判には「レッテル貼り」と反発するのに自分が暴言を吐くと「私にも言論の自由がある」と居直る。その呆れた人間性はどこから生まれているのか。首相の立場にありながら国会の場でヤジを飛ばして恥じない首相。安保関連法案の際も、正面突破の改憲ではなく解釈改憲という迂回路をとったところに著者は、「信念の人」という自覚とは裏腹の言行不一致を見ている。(平凡社 780円+税)

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