「戦後政治を終わらせる永続敗戦の、その先へ」白井聡著
安倍首相の政策理念である「戦後レジームからの脱却」。確かに戦後レジームはズタボロであり、スローガンとしては正しい。しかし、首相とその一派は結局のところ戦後レジームとは何であるのかという、その本質を理解しておらず、結果、「戦後レジームの死守」としか呼べない政策が強行されていると著者は指摘する。
戦後レジームの根幹は、敗戦と東西冷戦によってもたらされた「対米従属」と著者は定義。米国に依存している国は他にも多くあるが、問題は日本の対米従属の特殊性にあるという。占領下から戦後レジームの多くの期間を占めた55年体制、そして現在まで日本政治の70年を総括。
ポスト55年体制への道筋を示した政治テキスト。(NHK出版 820円+税)