ISを生む社会的背景は日本も例外ではない
「『イスラム国』の内部へ」J・トーデンヘーファー著、津村正樹訳
ドイツ人の著者は西側ジャーナリストとして初めてIS領内を取材。現地の戦闘員をはじめ警察官や普通の地元民まで多数接した生々しいドキュメントが本書だ。
冒頭から長く続くのはシリア潜入までのイスラム国当事者との交渉。著者は一連のイスラムテロがアメリカをはじめとする西側諸国の暴虐による当然の結果だ、と鋭く批判する。西側による攻撃の犠牲者はISが殺した人々の数をはるかに上回る。ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド、ブレアらはいわば「キリスト教テロリスト」なのだ。日本人記者の首をはねた「ジハーディ・ジョン」も登場する迫真のルポ。(白水社 2400円+税)