「『やさしさ』過剰社会」榎本博明著
「やさしさ」が人を評価する物差しとなり、表面的なやさしさが蔓延する現代。心理学者が社会にあふれる「やさしさ」を分析した生き方指南書。
親子をはじめ、上司と部下、友人、恋人の関係などを例に「見せかけのやさしさ」や「やさしさの勘違い」が横行する心理的背景を解説。今の時代のやさしさは「相手のためという視点の有無」は関係なく、とにかく「傷つけない」という一点に尽きると指摘する。そのやさしさは、相手に関心があるわけではなく、相手の目に映る自分の姿に関心があるだけだという。
日本人特有のやさしさについて触れながら、本当のやさしさとは、相手のことを思いやる気持ちであることを説く。(PHP研究所 800円+税)