「教養としての社会保障」香取照幸著

公開日: 更新日:

 著者は厚労省の年金局長、雇用均等・児童家庭局長などを歴任。介護保険法、国民年金法、男女雇用機会均等法等を担当、内閣官房内閣審議官として「社会保障・税一体改革」を取りまとめている。本書は、「ミスター年金」といわれた元厚労省の官僚が、社会保障制度の成り立ちから問題点、改革の方向などを詳細に論じたもの。

 一般の人にとって、社会保障といわれてもその全体像はあまり理解ができていない。そこでまず、社会保障と政治や経済との関わりを中心に、「一般教養」としてわかりやすく説明しているのが本書のミソ。また、現在われわれが享受している皆保険、皆年金という制度は世界的に見て極めて特殊であり、この2つが成立し、持続しているのは奇跡的なことだと指摘。しかし、それが崩壊の危機にひんしているのは明らか。

 長期不況、少子高齢化、人口減少などの問題を抱える日本に、今後どのような新たな社会保障制度のモデルがありうるのか。長年、社会保障の現場にいた著者ならではの提言は、傾聴に値する。(東洋経済新報社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  3. 3

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    大河ドラマ「べらぼう」の制作現場に密着したNHK「100カメ」の舞台裏

  1. 6

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  2. 7

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  3. 8

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  4. 9

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり

  5. 10

    トランプ関税への無策に「本気の姿勢を見せろ!」高市早苗氏が石破政権に“啖呵”を切った裏事情