「ハイド」ダニエル・ルヴィーン著、羽田詩津子訳

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 ロバート・ルイス・スティーブンソンによって1886年に刊行された古典的名著「ジキル博士とハイド氏」。ある人間が、善を象徴するジキル博士から悪を象徴するハイド氏に変身するというストーリーは、その斬新なアイデアが多くの人を引きつけ、長年読み継がれてきた。本書は、この「ジキル博士とハイド氏」を元本に、悪役を押し付けられているハイド側の視点からストーリーを構築し直した物語。

 著者は、高校や大学でクリエーティブライティングを教える傍ら、本作でデビューを果たしたコロラド州ボルダー在住の新進作家だ。

 本書では、ジキル側の告白では見えてこなかったジキルの生い立ちや恋愛、ジキルがふたつの人格を必要とした理由がつづられ、途中、殺人事件が引き起こされるまでの経緯も明らかにされる。ロンドンの街で誰にもいえない秘密を抱えている主人公の中で、どんな葛藤が起こっていたのか、その精神の深淵をのぞき込むような読書体験ができる。(KADOKAWA 2000円+税)

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