「きずな酒」倉阪鬼一郎著
時吉とおちよ夫婦は、横山町で旅籠つき小料理屋のどか屋を切り盛り。ある日、造り酒屋の武蔵屋の句会に招かれて出かけた常連客の俳諧師・季川が厄介事を持ち込む。家を出たまま音信不通だった武蔵屋の末っ子・松四郎から主人の留太郎に金を無心する文が届いたという。松四郎はバクチで200両もの借金をつくり、金が用意できなければ殺されると書かれており、留太郎は期日までに用意しようと金繰りに奔走しているらしい。しかし、心配した季川が預かってきた文を調べると、松四郎の筆跡ではなかった。時吉らから相談を受けた店の常連、隠密廻り同心の安東らが動き出す。
元侍の時吉が作るさまざまな料理を味わいながら進む時代娯楽小説。(二見書房 648円+税)