「いきどまり鉄道の旅」北尾トロ著
終着駅がどこにもつながらない「いきどまり鉄道」に乗って、その「いきどまり具合」を確認しつつ、路線の現在・過去・未来に思いをはせる異色紀行エッセー。
手始めに向かったのは「わたらせ渓谷鉄道」。同線の前身は銅山の鉱石輸送のための産業鉄道だったが、その役割を終えると、現在の終着駅である間藤駅から、かつての終着駅の足尾本山駅までは廃線になり、現在は観光列車として運行を続けている。間藤駅から先に延びるサビだらけのレールや、歴史館に掲げられた1枚の写真に心打たれながら、終着駅と沿線を堪能する。
その他、北海道の石勝線や群馬の東武佐野線など、ひたすら揺られて終着駅を目指す10プラスアルファの旅を収録。
(河出書房新社 780円+税)