「いとも優雅な意地悪の教本」橋本治著

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 むき出しの敵意がこもったストレートな言葉が行き交う現代社会。そこに充満する暴力的エネルギー、不穏な空気を変換する「意地悪」の効果と技術について語った異色の社会・文芸評論。

 意地悪と暴力はどう違うのか。暴力は単純な行為なので誰がやったのかすぐ分かり、その単純さゆえに波及する。一方の意地悪は複雑な行為で、「誰がやったか」がすぐに分かってはいけないというのは当たり前。考えてしばらくして「意地悪された」と気がつくのが意地悪で、意地悪であるかどうかすぐには分からないのが意地悪なのだと説く。

 メリル・ストリープが女性誌の編集長を演じた映画や夏目漱石の作品などをテキストに、さまざまな視点から意地悪について論じる。

(集英社 760円+税)

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