「砂上」桜木紫乃著

公開日: 更新日:

 北海道・江別に住む柊令央は、いつか作家になることを夢見て小説を書き続けている40歳の女性。元夫から振り込まれる離婚の慰謝料とビストロ勤務で得るわずかなアルバイト代を支えに、文芸誌の新人賞に何度も応募していたが、手応えが得られないまま、いつしか年月が過ぎていた。

 そんなある日、令央の目の前に今までの新人賞応募作を読んできたと語る女性編集者・小川乙三が現れる。期待を胸に対面した令央だったが、彼女の口から発せられるのは責めるような鋭い言葉。「あなたは何がしたいんですか」という問いかけに発奮し、自分が死ぬまで秘密にしようと思っていたあることを題材にした小説を改めて書くことを決心する。しかしそれは苦難の始まりだった……。

「ホテルローヤル」で第149回直木賞を受賞した著者による最新作。小説家志望の女性を主人公にして、小説という虚構の世界を立ち上げていく過程や編集者と小説家との緊張感あふれる関係性をリアルに描いている。

(KADOKAWA 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる