電車大好きな男子必携
「電車の顔図鑑 JR線を走る鉄道車両」江口明男著
女の子が人形やヌイグルミを抱えて歩くように、どこに行くにも模型を手放さない幼い男の子を見かける。彼らは、大きく車派と電車派に分かれるようだ。本書は、そんな電車派の男の子とその親、そして今も「鉄分」豊富な元男の子たちにお薦めの電車本。
JR7社と国鉄時代の車両、198形式484両を、正面から見た、いわゆる「顔」部分のイラストで紹介する図鑑。
トップを飾るのは、もちろん電車界のスター、新幹線だ。ご存じのように1964年に東海道新幹線が東京~新大阪間で開業して以来、全国各地に延伸、新規開業を重ねてきた。車両も丸みを帯びた先頭形状からだんごっ鼻と呼ばれた0系を皮切りに、さまざまなタイプが開発されてきた。その歴史を振り返る一方で、現在の東海道・山陽新幹線の主役「N700系」から「ドクターイエロー」の名で親しまれる保守点検用の「923形」まで、現役車両を一つ一つ解説。運転席のフロントガラスに記されたアルファベットと数字が編成番号を表すなどのマメ知識を知ると、次に新幹線に乗る機会が待ち遠しくなってくる。
続いて、91年に登場して「成田エクスプレス」などに使われた「253系」や、天皇や皇族、国賓が乗車する「特別車両」を連結してお召し列車などにも使われる「E655系」などの「特急型列車」から、大都市と郊外を結ぶ「近郊型電車」、多くの人が毎日お世話になっている「通勤型電車」、そして蒸気機関車を含む「機関車」まで。タイプ別にそれぞれの車両を精密なイラストで紹介。
写真と異なり、背景など余計な情報に惑わされることなく車両と向き合え、同じように見える車両の見分けポイントも解説付きでよく分かる。
(天夢人 1600円+税)