「ノーベル賞の舞台裏」共同通信ロンドン支局取材班編
ベールに包まれたノーベル賞の舞台裏を徹底取材したリポート。
創立から1世紀、受賞者には偉人が名を連ね、ノーベル賞は世界最高位の権威を誇る。だが、過去には「がんの原因は寄生虫」学説や、悪名高い「ロボトミー手術」開発に賞を授与するなど、ミスも少なくない。賞の運営には創設者ノーベルの遺言が絶対視されるが、遺言では「経済」を賞の対象に指定しておらず、スウェーデン経済界によるゴリ押しで、加わったそうだ。
佐藤栄作元首相の平和賞受賞のために政府が展開した国際ロビー活動や、日本人受賞者が出るたびに繰り返される日本人取材陣の狂騒ぶりなどを紹介しながら、国家や著名大学の思惑が交錯し、時に政治に利用される賞の現実に迫る。
(筑摩書房 900円+税)