シニア食はここまで進化した!「料理の鉄人」が嚥下食を監修、飲みすぎや風邪にもピッタリ
あと1カ月もすれば年末がやってくる。クリスマスや大晦日、そして正月。チキンや鍋、おせちなどを堪能したいが、カロリーや塩分、油分は気になるところ。年を重ねればなおさらだ。若いころと違って食べる量も少なくなってきた。歯もあまり丈夫じゃない……。そんなシニアにピッタリの食品が進化中だ。
◇ ◇ ◇
■歯茎が痛いときにも
50代後半の男性は歯茎が腫れ、豆腐やプリンなど軟らかい食品しか食べられなかった。
「親知らずが変な方向に生えかかっていたようなんです。腫れが引くまでは処置もできず、噛むと激痛が走るので、数日間は我慢。栄養を考えてパウチに入ったゼリー状の食品を口にしていましたが、吸うのに力がいるので歯茎が痛みます。そんなときカミさんが介護食を買ってきてくれたんです。えーっと思ったんですが、食べやすさはバツグンだし、何よりおいしい。ありがたかったです」
パッケージに「舌でつぶせる」と書かれた「かつ煮」。とんかつを卵でとじたレトルト食品だ。
「噛まなくていいので本当に食べやすい。ほどよい甘さで満足しました。カップ容器に入った『やわらかチャーハン』も買ってきてくれました。こちらも舌でつぶせるシリーズで、無理なく食べられました。パッと見はおじや風ですが、味はしっかりチャーハン。香味油が香り、ああチャーハンを食べたと感じます」(前出の50代男性)
これらの商品はキユーピーが発売している「やさしい献立(介護食)」シリーズ。「舌でつぶせる」のほか「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「かまなくてよい」がある。
「構成比が高いのは『かまなくてよい』です。家庭で作るのに特に手間がかかるため、高齢者の増加とともに売り上げも伸長しています」(キユーピー広報)
このシリーズはペースト状になっている。にんじん、コーンといった野菜から、「白身魚と野菜」「牛肉じゃが」などが揃う。自宅でペースト状に調理するのは大変。介護食だけでなく、歯茎が腫れている人にもピッタリの商品といえそうだ。
「高齢者や要介護者に限らず、歯科治療や体調がすぐれないときに利用していただくケースがあります。またコロナ禍での自宅療養者への支援食として供給したり、能登地震でも国の支援物資として採用いただいたことなどで認知が広がり、高齢者以外での利用も広がっています」(キユーピー広報)
やさしい献立が発売されたのは1998年。現在は、和食だけでなくシチューやグラタンなどの洋食メニューも増えている。