「意識のリボン」綿矢りさ著

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「インストール」で第38回文芸賞を受賞してデビューして以降、「蹴りたい背中」で第130回芥川賞を、「かわいそうだね?」で第6回大江健三郎賞を受賞した著者による最新短編集。生活の中で女性が経験する普段言葉にしないささやかな気持ちを、小説という器に注ぎ込んだような短編小説が並ぶ。

 女性同士のおしゃべりの中にある力関係の不思議さが描かれた「岩盤浴にて」、書くたびに登場人物と自分を同一視されることに困惑する女流作家が主人公の「こたつのUFO」、通り魔出没のうわさに娘の身を案じる母親を描いた「声の無い誰か」など計8編を収録する。

 表題作は、母親を早くに亡くした主人公が交通事故に遭い、臨死体験する物語。事故に遭うまでの日常から、思いがけない事故に遭って自分の体から意識が離れていく過程、さらに意識だけになった自分が何を見て何を感じたかという、意識の旅を丁寧に追いかけながら描写している。

(集英社 1300円+税)

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