「京都ぎらい 官能篇」井上章一著
今でこそ、京都は気品と風格あふれる古都として認知されているが、明治・大正期の雑誌では街の淫風が書きたてられていたという。ベストセラーの続編である本書では、京都の知られざるそのもうひとつの顔を暴く。
嵯峨で育った著者が物心ついたときに見かけたことがあるギ王寺の美人庵主・智照尼の数奇な人生、そのギ王寺にまつわる女性たちの物語、江戸時代に商用で入洛した男たちを接待した「牙儈」と呼ばれた女性たちの存在、後宮の女性の魅力を活用して新田義貞の心をとらえ、軍事力を利用した後醍醐天皇、若い女に裸体が透けるような装いをさせて男たちを供応する太平記に描かれた「シースルーパーティー」など。
京都の歴史を彩る女性たちの色香にスポットを当てる。(朝日新聞出版 780円+税)