「いま生きる階級論」佐藤優著
マルクスの「資本論」を読み解く講座の書籍化。1867年刊行のこの大昔の本を、あえて今、取り上げるのはなぜか。著者は、マルクスの資本主義に対する見立ては、いまだに有効であり、「資本論」の論理を身につけることで、そのただ中に生きていながら、資本主義の正体について実はあまり分かっていない私たちは、人生を楽にすることができるからだという。
現在の日本の喫緊の課題は「階級論」であるが、資本論では労働者・資本家・地主の3つの階級で資本主義社会は完結していると想定する。しかし、著者は実は税を徴収する国家を担う官僚もその階級に加えるべきだと説く。国際情勢やドラマまで硬軟の話題を盛り込みながら展開される「白熱」の講義。
(新潮社 670円+税)