「除染と国家」日野行介著

公開日: 更新日:

 原発事故の放射能汚染対策として行われた除染作業には、延べ3000万人の作業員が従事して、2兆6250億円もの国費が投じられた。しかし、福島県内だけで最大2200万立方メートルと推計される汚染土の最終的な処分や費用のめどは全く立っていない。被ばく軽減には避難がより根本的な手段で、除染は汚染地を離れられない人のための補助的対策のはずだった。

 だが、国は事故直後に緊急時を理由に避難指示基準となる線量を年間20ミリシーベルトに引き上げ、除染する基準を年間1ミリシーベルトに設定。これは避難地区を狭めるための国策だった。

 環境省の非公開会合の記録を入手した記者が、官僚や学者を取材し、除染の終了によって原発事故の幕引きを図ろうとする国の嘘を暴くリポート。

 (集英社 860円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる