「ため息スクワット」小林弘幸著

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“ため息をつくと幸せが逃げる”と言われるが、健康を考えればむしろ逆。「はぁ~」とため息をつく前、私たちは無意識のうちに大きく息を吸い込んでいる。取り入れられたたくさんの酸素は血液に乗って体中へと行き渡り、心身をリフレッシュさせてくれるのだ。

 さらに、自律神経研究の第一人者である著者は、深くため息をつくことで自律神経のバランスが整うと説き、ため息をつきながらスクワット運動を行えば、筋力と血流の衰えにもアプローチして一石三鳥の効果が期待できると解説している。

 スクワットの動作でもっとも直接的に鍛えられるのが太ももの筋肉だ。体の軸をつくり体重を支える人体の要である太ももの筋肉が衰えると、立つ、歩くなど日常の基本動作が困難になるだけでなく、筋肉の収縮によるポンプ機能が低下して血流が悪くなり、全身の健康状態にまで悪影響を及ぼしかねない。これらを予防するのがスクワット運動だ。

 さらに、血流をよくするためには自律神経のバランスを整えることも重要である。呼吸と自律神経はリンクしているため、深いため息をつくことでも自律神経が整い血流がよくなる。そして、スクワットで血流がよくなると自律神経にもよい影響をもたらし、おのずと呼吸も深まってくるという好循環も生まれるという。

 本書では、ため息スクワットの実践方法も紹介。両足を肩幅に開いて立ち、背筋を伸ばしたまま約4秒間を目安に、ため息をつきながらゆっくりと腰を落としていく。膝は90度以上曲げない、腰をまるめないなど、効果を確実のものとするための極意も教えてくれる。

 健康寿命を延ばしたいなら、ため息スクワットを習慣づけてみては。

(集英社 1200円+税)

【連載】長生きする読書術

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