「太宰を読んだ人が迷い込む場所」齋藤孝著

公開日: 更新日:

 明治生まれの太宰治が、今なお読者を魅了しつづけている。心中騒ぎや左翼活動に起因する警察沙汰、薬物中毒や酒がらみの愚行まで。読者にとって太宰の行状は「避けて通りたい難所」でありながらも、「その気持ち、わかる」と自分の代弁者のように感じるからだと著者は言う。そして太宰文学に潜む「毒」は、現代人の弱い心によく効く劇薬となりうるとも。そんな太宰文学から「輝く言葉」を取り出し、改めて作品を味わう文学ガイド。

 若き日の太宰がノンフィクションのようにつづられている「東京八景」をはじめ、「滅びの美学」が描かれる「斜陽」などの有名作から「血の池地獄にすーっと降りてくる蜘蛛の糸」のような救いとなる知られざる短編まで。全作品から選りすぐりの名文を紹介。

(PHP研究所 940円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”